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The Documentary of EXPANSION vol.2 - TALKIN' WITH MR.MAGARA

<EXPANSION>というブランドの持つ魅力に迫りたいと思っていた我々は、デザイナーであるKIRK氏に対し、
KIRK氏と氏及び<EXPANSION>と昔から親交の深いどなたかとの対談を提案してみた。
そこでKIRK氏が対談相手として希望したのが、真柄尚武氏だった。

かつてはrealmad HECTICのボスとして、
現在は自身の好みをより強く反映させたショップであるA-1 CLOTHINGのボスであり、
"Most Valuable Product"の頭文字をとったブランドである<MVP>のディレクターであもり、
Masterpiece Soundのボスでもある真柄氏は、
東京のカルチャーを語る上では決して欠かせない、まさに説明不要な人物である。
そして、KIRK氏と真柄氏は10年以上に渡る旧知の間柄。
そんな二人に、過去の出会いから、90年代〜00年代の話し、
更には現在のファッションに対する感覚の話しまで、盛り沢山に語って頂きました。





STADIUM「先ず、お二人のリンクの切っ掛けはどんな感じだったんですか?」

KIRK「俺が覚えてるのは、Hecticで真柄くんが買い付けに来ているとき、多分Stashの事務所帰りだったんだと思うんですけど、Penn Stationにある大きなPost Officeのところに、Yoppy君と真柄くんとAkeemが座ってたの。それを見かけて、そのときはまだバリバリ勢いのある若造だったんで「Hey!!」みたいな感じで御挨拶したのが、一番最初の出会いかな」

STADIUM「そういう感じだったんですね!」

KIRK「そうそう。勿論Hecticのことは知ってたよ。何年だろうな〜、96年?」

真柄「後半だよね。96とか97とかその辺だったと思う」

STADIUM「その頃ってKirkさんはJACKPOTさんの仕事をされていた頃ですか?」

真柄「ドレッドで」

KIRK「(笑)」

STADIUM「真柄さんはそのときのことは覚えていらっしゃいますか?」

真柄「言われると、アってなるけど(笑)。そんなに話し込んではないよね?」

KIRK「挨拶だけですよ」

STADIUM「成る程。それが今の様に、しっかりとリンクしだしたのは…」

真柄「なんだろうな。でも(KIRKが)日本に帰って来ていて、HARLEMで滅茶苦茶酔っぱらってて、最初俺のことをHASEBEと間違ってた(笑)」

STADIUM「ほー(笑)」

KIRK「いや、でも前からやっぱり、当時Hectic、Neverland、自分が働いていたところでなんだけどJackpot、Sexperienceの4つはインポートセレクトショップとしてイケてたし。だから勿論Hecticのことは知ってたんだよね」

真柄「Jackpotのあと、Muro君の買い付けを手伝ったりしてたでしょ?」

KIRK「はい」

真柄「多分その買い付けで、<Hermes>のアクセサリーを頼んで買ってもらったような気がするんだけど」

KIRK「あー、買った様な記憶あります。その辺からですかね!?」

真柄「結構前だね(笑)」

KIRK「その後<EXPANSION>を始めて、Hecticに置きたくて3回頼みに行った思い出が」

真柄「それ回数は絶対自己申告だと思うよ(笑)」

KIRK 「(笑)。それで置かせてもらって、凄いお世話になりました。一気に取引先も二倍に増えたし」

STADIUM「それは大体いつ頃の話なんですか?」

真柄「Hecticが地下のお店になってからだから〜…」

STADIUM「地下に移転されたのって00年とかでしたよね?」

KIRK「<EXPANSION>は01年から始めているから、Hecに置かしてもらったのは05年からとかだと思う」

STADIUM「真柄さんは<EXPANSION>の洋服を、取り扱い開始する前からチェックされていたんですか?」

真柄「展示会はずっと行ってたよね。昔、展示会の度にアーティストの写真だったり作品を陳列したり、ビデオを流したりとかしてたから、それも楽しみで絶対に行ってて。あと、あれですね、先生の日本支社っていうのがあったり無かったりだけど、そのときどきで手伝っている人がだいたいHarlemとかで遊んでいたり、周りに居る人だったんで。色々アート展みたいのやってたよね。何やったっけ?」

KIRK「PhotographerのMartha Cooper、Chi Modu、Michael Benabib、PHASE2…」

STADIUM「真柄さん的にはKIRKさんのそういうアクションは興味深かった感じですか?」

真柄「うん」

KIRK「照れるじゃないですか(笑)!」

STADIUM「改めてになりますが、KIRKさんは当時Hecticチームにどういう印象を持っていたんですか?」

KIRK「兄貴共というか、本当に先輩って感じだよね。結局さっき挙げたようなセレクトショップの人たちって、当時NYに来ると大体同じルートで買い付けに行くのね、だから、たまに俺とJACKPOTの小川君でアウトレット周りをしていたら、横に真柄くんとYOPPYとAKEEMが車に乗ってて、「Hecだー! 先回りするぞー」みたいな。で、着いたらNEVERLANDの奴らが居たりして。あれってなんで被ってたんですかね? SALEの時期とか、そういうのはあったと思うけど」

STADIUM「へ〜。あれですよね、真柄さんはHecticの中でも、オリジナルブランドを始められたのが、後の方になるんですよね?」

真柄「全然後の方。オープンのときには<Regular>ってブランドをYoppyがやっていて。<Regular>がオリジナルみたいな感じだったんだよね。<PKG>と<Teenage Wolf>ってブランドもちょっとだけあったりしたんだけど(笑)。それはAkeemがグラフィックをやったりしていて」

STADIUM「真柄さんが主体となってっていうのは、やはり<MASTERPIECE>になるんですよね? それはいつぐらいなんですか?」

真柄「そうだね。結構後の方。移転前は無かったから、2000年くらいかな。99年とか」

STADIUM「となると、お互いが主となったブランドをスタートさせたのって、結構近い時期なんですね」

KIRK「でも真柄くんはHECTICやってたから」

真柄「俺は買い付けの方だったから。<PKG>のスウェットとか、ナイロンのトラックスーツとかをちょっと作ったりしてたけど。<EXPANSION>でTシャツに<POST O’ALLS>のマークを入れて出したときって何周年のとき?」

KIRK「7周年ですね! あれは恐ろしいメンツですよ。<Hectic>、<POST O’ALLS>、<Devilock>、TWIGY、KASHI DA HANDSOME、<INTERFACE>っていう」

真柄「じゃあその前には確実に毅さん(注:<POST O’ALLS>のボスである大淵毅氏のこと)に出会ってるんだね」

STADIUM「ちなみに、Hecticで<EXPANSION>の取り扱いがスタートした頃には、お二人は今の様な関係になっていたんですか?」

真柄「NYでなんのタイミングで毅さんのところ行ったんだろうね? でもあれだね、Hecのスタッフが一人で買い付けに行ったときにKIRKにお世話になったって言ってて。30何丁目のファブリック屋でファブリック買って、帽子作ったりしてて、そのやりとりをしたりしてて」

KIRK「帰ってくる度に必ず事務所に遊びに行っていたのは覚えてます。でも夜ですね! 結局。夜にHarlemとかAGEHAとかで飲んだり」

真柄「地方のイベントに一緒に行ったりもしたよね。大阪とか」

STADIUM「成る程。いわゆる夜の社交場で仲が深まっていったんですね。ちなみに、先ほども名前が出て来ていらっしゃいますが、<POST O’ALLS>の大淵様も共通のお知り合いですよね」

KIRK「僕は真柄くんに紹介してもらって。真柄くんはVintage Kingの頃ですよね?」

真柄「そうだね」

STADIUM「ほー。そうなるとやはり<EXPANSION>の服作りには、直接的にせよ間接的にせよ、真柄さんからの影響というのは少なからずありますよね?」

KIRK「真柄くんとか毅さんらは、ヴィンテージと呼ばれる40年代〜60年代の古着を本当に知っているプロなんで、そこからインスパイアされて洋服作りされてる方って色んな人が居るけど、そのなかでも本物の人たちだと思ってます。やっぱりコレクションも凄いし。たまに僕と真柄くんで毅さんの家に行くと、お互い、これ持ってる? みたいなことをやっているのを見ると、やっぱ本当に(ヴィンテージを)愛している人たちなんだなって思う。流行でとかじゃなく」

STADIUM「KIRKさんは元々そういうヴィンテージアイテムへの興味はあったんですか?」

KIRK「興味はあったけど、僕の場合洋服に入ったのが90年代だからストリート文化っていうか、B-BOYが<POLO>を着ていたりとか、<Columbia>着てたりとか、<Tommy Hillfiger>着てたりとか、デザイナーズブランド着ていたりとかっていうところから、バイヤーになったから、ヴィンテージから入ったって訳ではないです。次第に洋服が好きになっていくと、ヴィンテージが好きになっていったりしてって感じだね。でも、衝撃的だったんだよね、Hip Hopの人たちがジルボー(<MARITHE + FRANCOIS GIRBAUD>)とかをオーバーサイズで着こなしたりしてるのは。凄い格好良かった」

STADIUM「KIRKさんも真柄さんも年を経るにつれて、作るものが、より自分たちの好みに忠実なものになっていっているように見えるんですけど、そういうのって切っ掛けとかってありますか?」

真柄「うーん、なんですかね。元々Hip Hopが好きで、Hip Hopと<Levi’s>のファーストなんて昔はリンクする訳ないじゃないですかっていう。古着って、どっちかと言ったらロカビリーだったりとか、そういう人たちが50年代に着ていた洋服だからっていうのがあったし、そんな流れで古着は好きになったんだけど。なんだろ、毅さんとかと出会ってちょっとした頃に、古着のカバーオールとかは元々凄い好きで超着てて、日本で皆がまだ<Levi’s>のファーストだセカンドだって言ってる頃にカバーオールを着てて、その上に<The North Face>の3レイヤーのマウンパとかを着だしたりしてて、そういうのを見て、アウトドアもアリなんだって思って(笑)。みんな重ね着スタイルをしてて。で、マンハッタンのアウトドア屋に行って、ヒロシ君とかも履いてた<Teva>のサンダルとかを見つけたりとか。あれも教えてくれたのは西さん(元<POST O’ALLS>、現<Corona>ディレクター)だったし。<Birkenstock>もあの人たちが履いてるのを見て履きだして。あの人たちが新しいものを着だすと、NYの皆が真似していたりしてたから(笑)。その辺からだんだん、日本でも古着の人のなかで<Patagonia>とかが流行ってきて。でもまぁ、B-BOY的なあれもあったから、サイズ感はアメカジの人よりも大きめで着ていたりしてて、まぁなんとなくそれくらいから、自分の中で、古着とHip Hopのクロスオーバーじゃないですけど、始まってたりして。で、まぁHecできた頃の写真見ても、シャンブレー着てて、今でも着てて、何も変わらないじゃんて感じなんだけど(笑)。その間、スウェットをずっと着てた時期もあるけど、スウェットの上といったらシャンブレーだったり。着てる服が変わったっていうと、本当にここ1、2年。A-1 Clothingをまたやり始めた頃からなのかな。最初の頃、ちょっとジーパン履きだしたら、今日はどこ行くんですか? とかいわれて(笑)。お洒落してる人風に見られたりとか(笑)。けど、それが今では普通にジーパン履く様になって、そうするとやっぱりシャツとかも色々自分が着たいものっていう目で色々見ると、また新しいものが広がってきたんですよね。カバーオールも、前はどれだけ忠実に作れたら凄いんだろうとか思うんだけど、今はフィットとかはまた別で、(ヴィンテージから)デザインをどうとるかとかってことを考えますね」

STADIUM「真柄さんのVintage King時代の話とか、ヴィンテージへの造詣の深さってのは有名だと思うんですけど、それ以上に世間的にMasterpiece Soundとしての真柄さんの印象が強かったんだと思うんですよね。特に若い世代にとっては。着ているものが凄い変わっている訳ではないけど、印象が変わったと言われるのは、そういう理由が大きそうですよね。KIRKさん的にはどうですか? 自分の中では服作りが変化したという感覚はあるんですか?」

KIRK「失敗を凄いして学んでいるから、始めた時から比べて成長は凄いしてるよ。それは感じる」

STADIUM「はっきりと服作りが変わったみたいなターニングポイントってありますか?」

KIRK「工場との付き合い方とか、スタンスは昔から変わっていないけど、なんだろうな〜」

真柄「でもKIRK先輩、いきなり日本生産やろうって言ってた時期とかあったじゃん」

KIRK「はい。やっぱり日本生産て本当に良いものじゃないですか。細かく綺麗に出来るし。でも、やっぱり離れていたんで、遠すぎるから、小さな修正でも凄い時間かかっちゃうし。それなら、海外住んでるんだったら、海外でやりたいなって思って。その窓口を作ってくれたのも毅さんだから。生地屋さんを一つだけ紹介してくれて。あとは自分でがむしゃらに探して探して、情報聞いたりとか」

STADIUM「日本生産でってのはいつ頃の話なんですか?」

KIRK「日本生産ていうのは、実は<SWAGGER>のヒデ君にうちでやらない?って声かけてもらって、<SWAGGER>さんで作ってもらっていた時代もあったりして。2シーズンくらいかな。やっと今になってどういう人に売りたいかっていうマーケティングが明確になって来たかなと思う」

STADIUM「成る程〜。では、かなり直球な質問ですが、お互いの人間性と作るものをそれぞれどう思われていますか?」

KIRK「恥ずかしいんですけど、ずっと飲んで頂ける先輩じゃないかなと思ってます。爺ちゃんになっても、職業が変わったとしても、日本に帰って来たらどっか連れて行ってくれるんじゃないかなと。もの作りに関しては、真柄くんぽさプラス、今何が格好良いかというか、今の時代にフィットしながら真柄くんテイストが混ざってるのが伝わってくる、凄い格好良い洋服作りをなさっている先輩」

STADIUM「KIRKさんの感じている真柄さんぽさっていうのはどういうところですか?」

KIRK「さっきも話にでたけど、なんだろう、分からないけど、好きなものに対して突き抜ける、途中でやめるんじゃなくて、本当に最後まで好きなものを勉強しちゃうところかな。アウトドアでもそうだし、ヴィンテージもそうだし、ミリタリーもそうだし、オールジャンルに好きなものを追求していったものが真柄くんの服作りなんじゃないかな」

真柄「KIRKの周りには人が集まるっていう。それが作るものにも現れている。やっぱりKIRKが展示会で説明すると、説得力が増すし。だから、自分で作って、自分がお店に立って売った方が良いよね(笑)。ここに自分はこれだけ力を入れて作ったんですよって説明しながら。なんですかね、あったかい洋服じゃないですけど(笑)、本当に。それにはKIRKは工場に足運んだり、距離感を大事にしてると思うし、どんな過程で作られているかを知りたいと思っているだろうから。で、自分で縫っているアイテムもあるし。KIRKと、KIRKと作る洋服と、洋服を買うお客さんの距離感がどんどん縮まっていけばKIRK先輩の、まさにEXPANSIONですよみたいな(笑)。良くも悪くもキャラクターが良い意味で出ているブランドかなって思うっすよ」

KIRK「もういいでしょ!?(笑) こういうの本当ダメなんだよ(笑)」

STADIUM「(笑)。では、最後にお互いに一言御願いします!」

KIRK「そろそろ一緒にもの作りができたら!

真柄「そう言っていつも実現しないんですけどね(笑)。でも、ここ何年か一緒に生地屋回ったり、工場見学させてもらったりとかしてるんですけど、実現してないですね(笑)」

KIRK「2014の秋冬くらいに何アイテムか一緒に出せれば面白いかなと」

真柄「工場でも生地屋でも職人気質の人たちがKIRKの周りに集まって来ていて、そういうところが本当に素晴らしいです」

STADIUM「今度こそ実現することを楽しみにしています! 本日はありがとうございました!」